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歯の噛み合わせ

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2019年12月25日

化粧療法と噛み合わせ

歯は長い間にはすり減って短くなり、噛み合わせも低く低くなり、口唇の形も薄くなります。
その結果、口角部には寄りが出来て、そこに毛細血管現象によって唾液がいつも溜まり湿っている為、口角部に炎症が起こって赤くなっているのです。
その口角炎の原因は、一般に胃が悪いからと言われていますが、私が思うに噛みあわせが低くなって起こっていると思います。
その低くなった噛み合わせの高さを高くして元に戻す咬合治療により、口唇の形も昔に戻り、口角炎も改善する可能性があります。
又、噛み合わせが低くなった為に下の顎は後方に引けて、頭は前に傾くのです。
人間は二足歩行で、重い頭が前に傾き、バランスをとる為に背骨を曲げて猫背になっているのです。
その口唇の形も猫背も原因は歯の噛み合わせが大きく関係しているのですが、それは年のせい、気のせい、で片付けられているのが現状です。
その低くなった噛み合わせを高くする咬合治療で、原因不明の「身体の不調」も改善する可能性があります。
その補助療法の一つとして、化粧療法も考えられるのです。

男性に「化粧品」といえば100%「口紅」と答えるくらい、口紅は化粧品の中でも象徴的な商品です。
その化粧品の中でも口紅は92.8%が使用されている様です。

多くの人の唇は、年と共に薄くなり、口元のシワやほうれい線は増え、老けた印象を与えるので特に気になる部分です。
噛めない、痛い、外れる為に、入れ歯入れている人は少なく、入れていても上唇は薄く、見えない人も多くいます。

要介護状態の女性の約7割はスキンケアもメイクもしておらず、約3割の人はスキンケアだけは続けているそうです。
メイクで一番盛り上がる口紅を付けるにも、口唇が薄かったりほとんど見えていなかったりすると、楽しみは半減します。
女性でも普段スキンケアもメイクもしていない人もいますが、外出して誰かと会う時には、必然的に口に意識が向けられ、化粧をするでしょう。
女性はきれいで美しくなりたいという思いで、気持ちも明るくなり前向きになると、生活意欲が出て、自分に自信が持てれば年齢に関係なく、自らで行動を起こし、リハビリ等にも取り組み、レクリエーションに参加する意欲も増えてくるのではないでしょうか。
化粧が自分の口に関心を持つきっ掛けになり、口紅は一瞬にして印象をガラッと変え自分を彩る事が出来る有効な商品の様です。

年を取るにつれて「口の渇きが気になる」人は約16%います。
その原因はストレス、加齢、薬の副作用と言われています。
服用しているのは、睡眠薬、精神安定剤、抗うつ剤、利尿剤、抗アレルギー剤等で、75歳以上の約4人に1人は7種類以上の薬を服用しているようです。
多剤服用は副作用のリスクを増加させより一層、口内乾燥、唾液分泌減少に繋がると言われています。

心身の不調があれば、誰でも自ら行動を起こすことはなかなか難しいが、化粧をする事は顔全体に、化粧水やクリームを顔全体になじませる事で、知らず知らずに大唾液腺の耳下腺、顎下腺、舌下腺を触ってマッサージをしていて、それが血流を良くしているのです。
スキンケアには心理学的に脳科学的にリラックス効果があり、その結果として副交感神経が優位に働き、さらっとした唾液が多く分泌されます。
この様にスキンケアは唾液分泌を促していると考えられます。
唾液は食べ物の消化、吸収、咀嚼、飲み込み、口腔内細菌の制御、口腔粘膜の保護、味覚の感知に関わり、口腔健康維持に重要な役割を担っています。
認知症、要介護高齢者は口を動かすことも減って、口を触られることにも過敏になって口腔ケアを拒否する事もあります。
化粧をするという楽しさで、まず初めに香りのついている化粧品でリラックスのできる環境を作ります。
次にネイルを楽しみ、手指、腕マッサージや体操を取り入れて、最後に口紅を使う様になれば、自分の口に対して興味を持つ様になると思います。
この様にして化粧療法と噛み合わせ治療で自分自身の健康を取り戻す事も可能なのです。

投稿者:池上 孝

2019年12月02日

介護、認知症とオーラルフレイル

現代医学の秒進分歩により、平均寿命は延びていますが、健康寿命も延びるのが理想ですね。
平均寿命と健康寿命の差、男性9.8年、女性12.7年で、その差はまさに介護、寝たきりの期間で、出来れば0に近づけたいものです。
寝たきりにならず自立した生活を維持する為には介護、認知を防ぐ事が大切です。
人間誰しも年齢を重ねることで筋肉は30歳代から年間1~2%ずつ減少し、80歳代までは約30%が失われると言われています。
更に骨も脆くなっているのです。それがフレイルなのです。
人生の終末は誰しもNNK(寝込んで寝込んで苦しむ)ではなく、PPK(ピンピンコロリ)で終えるのが理想でしょう。

65歳以上で自分の歯が20本残っている人と、歯がほとんどなくなりよく咬めなくなった人と比較したところ、寿命が短いだけでなく、介護が必要な時間が長いのです。
しかも認知症を発症する可能性がおよそ2倍です。
噛むことは脳の血流を良くし、噛む力が弱まると認知症機能が低下するのです。
また、噛みしめる力が強ければ強いほど、歯と歯茎の間にある歯根膜の刺激が脳へ伝わり、運動、記憶などを司る海馬を活性化します。
噛むことで脳は活性化しますが、噛み合わせが悪いと、脳内のストレスや神経細胞が身体にストレスをもたらし、記憶障害を引き起こすと考えられています。
更に噛むことが出来なくなると脳は衰え、脳の神経細胞を破壊するタンパク質のアミロイドβが増加し、認知症の原因になる可能性があります。
一方、噛むことの刺激は、歯からだけでなく、粘膜や筋肉からも脳に伝わっていきます。
歯を失っていても、ブリッジ、入れ歯等で噛むことが出来れば脳を活性化する事も可能なのです。

また一歩下がって身体に不調を訴えている人の顔貌と姿勢に目を向けてください。
老人様顔貌で姿勢は悪く、猫背の人が多いと思いませんか。
人間は2足歩行で、首の上に重い頭が乗っています。
姿勢を決めるのが頭位で、頭位を決めるのが下顎(噛み合わせ)なのです。
歯も骨も長い間にはすり減り、短く、低くなり、噛み合わせも身長も低くなっているのです。
その結果、噛み合わせは低く低くなり、下顎は後ろへ引け、頭は前に傾きバランスをとろうと、猫背になっているのです。
猫背の人の歩行は不自然になり、バランスが悪く一寸した事でつまづきやすく、転倒、骨折、介護、認知症へと繋がっているのです。
低くなった噛み合わせをI-SPLINT(池上式スプリント:マウスピースの様なもの)を用いて挙上する事で、顔貌も若々しく姿勢も改善され、健康を取り戻すと共に介護、認知症の予防にも繋がるのです。
まさに噛み合わせはオーラルフレイルの最初の入り口でドミノ倒しのストッパーではないでしょうか。


投稿者:池上 孝