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歯の噛み合わせ

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2020年06月16日

のどの詰りと窒息死と噛み合わせ

厚生労働省の調査によると2016年には65歳以上の4300人が、食べ物をのどに詰まらせて窒息死しています。
同年交通事故で亡くなった高齢者は約3000人で、人口10万人当たりの食事中の窒息死者数は、50代後半では1.4%、60代後半で3.2%と、65歳以降から徐々に増え始めています。
80代前半で16.7%、後半で32.4%、80代から高齢化するにつれて急増しています。

人間誰しも年齢を重ねる事で、30代から年間1~2%ずつ筋肉は減少し80代までに約30%の筋肉は失われると言われています。
更に骨も脆くなっていくことは避けて通れないのです。

筋肉の減少に伴い、加齢と共にのどの機能も衰え、飲み込む力も弱まり、ものがうまく胃に運ばれず死んでしまう事もあるのです。
窒息死は、死に至る時間こそ短いが、もがき苦しみ、酸欠から意識朦朧となり力尽きて息絶えるのです。
窒息すると頭や顔に流れた血液が心臓に戻って来なくなり、脳に酸素が届かなくなります。
一般に脳への酸素供給が10秒間途絶えるだけで意識を失い、4分間続けば死を迎えると言われています。
まるで水中で溺れているように、いくらもがいても呼吸は楽にならなく、運よく一命を取り留めても、脳がダメージを負って意識が戻らず寝たきりになったり、脳死状態になって数日後に亡くなるケースがほとんどです。

Ⅰ.食べ物
○おにぎりと脂
お米は握ると粘り気が増して、粒同士がくっつき、のどの粘膜にも張り付きやすくなり、一度くっつくと剥がれにくくなり、窒息の原因となりやすいのです。
パラパラの炒飯よりぎゅっと握ったご飯の方が詰まりやすいのです。
○パンは口で咀嚼され、唾液が含まれるとくっつきやすくなり、餅のように窒息しやすい食べ物に変化するのです。
○白滝、糸こんにゃく、素麺の麺状で長い物は喉の奥に詰まりやすいのです。
○葉物野菜、わかめ等の海藻は粘膜に張り付きやすく、剥がれずに苦しみ窒息するリスクがあります。
健康な人ならドロドロしたものが間違って気道に入っても、咳き込んで吐き出せるので窒息することはないですが、高齢者は喉の機能や肺活量が衰えている為に気道に入ると、窒息の原因となるのです。
窒息時間と死亡率は、異物を5分以内に除去できれば94%は助かりますが、6~10分かかると42%が死亡するか意識が戻らない状態になります。
救助法は、背中を叩いたり腹部を突き上げてもダメなら掃除機によって吸引すると7割が助かったとの報告もあります。

Ⅱ「薬」での呼吸困難

高血圧治療で、脳梗塞、心筋梗塞などを予防するために、毎日何種類もの薬を飲めば、血圧は下がり、病気の予防に繋がるかもしれませんが、その薬のせいで、喉に詰まり呼吸困難に陥る危険性もあります。
こうしたリスクのある薬は3種類あります。

①「唾液」の分泌を妨げる薬
咀嚼して物を飲み込むために唾液は欠かせないものです。
唾液が出ていると無意識のうちに食べ物を舌の上でボール状の塊にして飲み込んだ時に、喉に引っ掛かる事なく少しずつ通るのです。
口に湿り気もなく水分がないと塊は作れないので喉の奥に食べ物がくっつきやすくなり、食道に入らなくなり、気道の入り口を塞いで呼吸が出来なくなります。
唾液の分泌を妨げる薬の、頻尿薬である抗コリのアセチルコリンという物質は、尿を出す働きと同時に唾液も出しているのです。
片方を抑え込むともう一方もセーブされているのです。
花粉症薬も年を重ねると皮膚が乾燥してかゆみを訴える人にかゆみ止めとして、抗ヒスタミン薬が処方されます。
更に、睡眠薬も長期間毎日飲み続けることで口が渇いてくるのです。
唾液は加齢と共に出にくくなり、昔に比べて物が飲み込みにくくなるのは「老化のせい」と思い込んでいますが、薬の副作用も考えられます。
本来なら75歳位までは唾液は十分に分泌され、飲み込みにくさを感じることは少ないのです。

②「飲み込みに関わる筋肉」を衰えさせる薬
カルシウム拮抗薬の降圧剤。
骨や歯の主成分であるカルシウムは、筋肉を縮める役割をもっていて、カルシウム拮抗薬は血管の筋肉が縮まるのを抑える事で血管を広げて血圧を下げているのです。
この薬は喉を動かす筋肉の働きも制御して、副作用で物がうまく飲み込めなくなる人もいます。薬で食事中に事故を起こすより、血圧が高めの方が健康リスクは小さいかもしれません。
睡眠薬は筋肉の緊張をほぐす事でリラックスさせて眠りへ導くのです。
その為薬が効いている時に喉の周りの筋肉も弛緩しやすくなり、唾液の分泌を抑えるだけでなく、飲み込む力も弱っているのです。

③「脳の働き」を低下させる抗うつ薬
物を飲み込む時、喉の神経反射が反応して窒息せずに食事が出来ています。
抗うつ薬の効き目がまだ残っていて、脳の働きが半ば眠ったままの状態で食事をすると、喉の神経反射も寝ぼけている為、誤って息を詰まらせる危険性もあります。

薬も高齢になると、飲み込みにくくなり、薬のカプセルやオブラート使用時、唾液で表面が少し濡れていると、かえってくっつきやすいことがあり、喉に張り付いて呼吸困難に陥る可能性がありますが、予防法は水にしっかりつけて表面にぬめりを出して飲むことです。

Ⅲ「タンが絡む」ことから窒息死

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
喫煙者の2%が発症し、年間19000人が亡くなっています。
気道は、クリーナー、加湿の働きを持ち、空気の通り道です。
これらの働きによって気道内感染を予防するほか、無菌状態に保ち、痰が溜まるのを防いでくれます。
痰は肺の中の分泌物や、肺に入った空気中の浮遊物が粘液と混ざったものです。
COPDの人は慢性的に気道に炎症が起きていて、タンを外に出す力も弱くなり、喉の奥に溜まりやすく、詰まるリスクは高いのです。
気道は乾燥するとウイルスや細菌に感染しやすくなるため、いつでも濡れた状態を保つために常に分泌液を出していて、そこに異物が入ると分泌量が増えて、外敵をくるんで外に押し出しやすくして気道や肺を守っているのです。
気道の表面では線毛という細かい毛が喉に向かって動いていて、敵を封じ込めた分泌物は線毛によって運ばれ、のどへ押し出されて「タン」となり、そして咳き込むことで口から外へ吐き出されるのです。
COPDの人が風邪やインフルエンザにかかると、気道や肺の機能が低下し、悪化の一途を辿りがちなのです。
加齢と共に喉の機能や反射機能と速度が衰え気道にタンが溜まっていてもそれに気づかず咳をしなかったり、咳をしても筋力が足りず出し切れないこともあるのです。
自分の力でタンを吐き出せなくなると、窒息死するのを待つか、タンを吸入してもらうかです。しかも吸われる人にとってはまさに生き地獄です。
「タンが絡む」から始まる窒息死は痛くてつらいものです。

Ⅳ誤嚥の繰り返しで肺炎 「自分の唾液で」のどが詰まる

2017年誤嚥性肺炎で亡くなった人は約36,000人です。
食べ物をのどに詰まらせるなど明らかな誤嚥で窒息した人の約8倍もの人が誤嚥性肺炎で命を奪われています。
嚥下機能は寝ている間も働いていて、唾液を飲み込んでいます。
高齢者はのどの嚥下する筋力が衰えて、寝ている間にも知らず知らずに唾液を誤嚥して肺炎を引き起こしていることが多いのです。
しかも不眠の為にのむ睡眠薬の中には、飲み込む筋肉を縮める力が弱まり、寝ている間にいつの間にか誤嚥し肺炎を起こすケースが多いのです。
物を食べている時は、通常、喉頭蓋と言われる部分が気管に食べ物が入らない様に蓋をしています。

起きている時は気管に唾液や食べかすが入ると自然とむせて咳き込んで誤嚥を防いでいますが、寝ていると間はその蓋が機能しないことがあります。
口の中には歯垢1㎎に1億以上の細菌がいて、その中には肺炎を起こす細菌もおり、特に口を開けて寝ていると乾燥し、細菌が繁殖しやすくなり、肛門と同じかそれ以上に汚いと言われる唾液が気管を通って肺に留まり肺炎を引き起こします。

高齢者の誤嚥性肺炎は自覚症状が少なく、若い人であれば高熱が出ますが、せいぜい微熱程度で発見が遅れて悪化しやすく、見つかった時には手遅れというケースが多いのです。
唾液が原因で肺炎になり、最後まで自分の唾液に苦しめられる、そんな最期は迎えたくないですね。
予防法として、噛み合わせ治療と噛み合わせ治療の出来ている義歯を睡眠時必ず装着する事です。

Ⅴ「花粉症」などのアレルギーで気管がつまる

一般に人は年を取ると花粉症などのアレルギーは軽くなると言われています。
花粉などの異物が体内に入ってきた時に、身体の免疫が作用して炎症を起こしていたのが、加齢と共に免疫システムも弱体化して花粉など異物に対しても過激な反応しにくくなり、アレルギー反応も治まってくるのです。
花粉症が進行すると、目や鼻のみならず、気管支までアレルギーが拡大し喘息になる人も多いのです。
アレルギー反応を起こす物質もあり、アレルギーが出る時に風邪などでウイルスに感染するといつも以上に気管が収縮して息苦しさを増すこともあり、またエビ、サバ、蕎麦等の食物アレルギーも出ると窒息に至る事もあります。
食物アレルギーで恐ろしいのは、喉頭浮腫といって喉の奥が腫れて空気の通り道を塞がれる、突然重症化するアナフィラキシーショックで気管がつまったら・・・。

花粉症で、鼻水、鼻づまりによって鼻呼吸がし辛くなり、口呼吸する事が多くなると、口の中が乾燥しやすくなり症状は悪化します。
花粉症の薬の中には副作用として、唾液の分泌を抑えるものがあります。

Ⅵ「むせる」

飲み込む力が衰え、ものを食べている時や水、お茶を飲む時に、むせる事が増えるのは、のどの機能が衰えていて窒息のリスクも上がります。

むせ込みは、誤嚥を防止する為の防御反応の事です。
つまり、気道に入った食べ物を咳をする事により、気管の外に出そうとする反応の事です。
それを含嗽反射(がんそうはんしゃ)と言います。
誤嚥に対する含嗽反射が低下すると誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなるのです。

むせる理由は3つ
1つ目は、気道の蓋の閉まりが悪い事。
人間の喉は、食べ物と空気を一緒に運び、途中で食べ物は食道へ、空気は気管へと運ばれます。
その振り分けを行っているのが喉仏の辺りにある喉頭蓋で、食べ物が喉に入ると、喉仏があがってこの蓋が倒れて気道の入り口を閉じる為、きちんと食道へ入っていくのです。
男女とも40代位から喉仏の位置が下がり始め(これは咬合高径の低下によるもの)、年齢を経るにつれてますます喉仏が上りにくくなると喉頭蓋が倒れにくくなり、気道の入り口が閉まりきらず隙間があるから物が詰まるのです。

2つ目は気道の蓋を締めるスピードが遅い事。
のどは通過していくものが食べ物か空気かを瞬時に判断し、蓋を動かすが、年と共に反射速度が落ちて、気道を閉じるのが遅れれば食べ物を誤嚥してむせるリスクは高まるのです。

3つ目は「脱水症状」に陥っている。
口やのどが充分湿っていないから飲み込んだものがバサついていて食道へと進まず、喉に張り付いて咳き込んでしまうのです。
むせるのは飲み込む力が衰えていて、誤って気管に入りかけた異物を吐き出そうとする自己防衛反応の現れです。
飲み込む力を改善するには、人と喋ったり、カラオケをして喉の筋肉をしっかり使う事が有効で、又、誤嚥しない様にと軟らかい物ばかり食べていると、かえって顎の力が弱くなり嚥下機能はますます衰えていきます。
歯ごたえのある物をいつもの倍以上しっかり噛めば喉の力も強くなり、のどを詰まらせるリスクは低くなります。

のどを詰まらせて窒息死 週刊現代より引用

Ⅶ 誤嚥予防法

正常な嚥下は、口唇閉鎖、鼻腔咽頭腔、気管(喉頭蓋)が閉鎖され、舌、下顎骨、舌骨、喉頭が挙上し、舌、下顎骨、舌骨が固定されて食道の開大が起こり、食物移動(嚥下)が起こるのですが、どこが欠けても誤嚥は起こるのです。
すなわち嚥下機能を最も保持しているのは咬合なのです。
言い換えれば咬合低下は誤嚥を生じる要因です。
咬合低下に対して、咬合挙上する事で、口内の面積が拡大する為に舌の可動域の拡大が起こり、気管に物が入らないように蓋をするスピード機能も回復します。
また、自律神経が瞬時に調整される結果、唾液が増加し口内、気道の潤いにより嚥下機能がスムーズになります。
固い物を咬む事で嚥下機能、肺機能の回復する事も可能なのです。

人間を長い間続ければ続けるほど、フレイルは誰でも起こるのです。
そのフレイルの元の元は、オーラルフレイルから始まる事を知って頂きたい。
噛むことで栄養が行き届き、筋力も付き、働きもスムーズになり、社会活動に繋がるのです。
経年的になぜ顔も姿勢も老人様になっていくのでしょうか?
そして、動作が鈍くなり、あっちこっちが痛い、歩きが不自由になるのでしょうか?
そして病院での診断の結果、「異常ナシ」で「年のせい」で片付けられて諦めていませんか?
でも考えてみてください。
精密機械でも長年使用すると金属もすり減ってくるでしょう。でも代わりの部品があります。
人間を長い間していると、歯も骨もすり減って短く低くなり、その結果、身長も低くなり猫背になっているのです。
噛み合わせ治療が部品に当たるのです。
人間は二足歩行で最上部に頭があり、頭の位置が姿勢を決めているのです。
その頭の位置を決めるのが歯の噛み合わせなのです。
年と共に噛み合わせは低く、噛みにくくなっているのです。
入れ歯が痛い・咬めない・外れやすい、だから夜間を含めほとんど外しているのです。
一時的に噛み合わせを高くするとどうなるか体験してみてください。
割箸を5~6cm、両小臼歯で5~10分咬んでみてください。
そして口の中の変化(唾液の増加)、目の変化、鼻の変化、立ち上がり、歩き、目線の違いを比較してみてください。
それが歯の噛み合わせなのです。


投稿者:池上 孝

2020年06月16日

生活習慣病・薬漬けの副作用と噛み合わせ

薬を飲むと病気の原因の部分だけの効果でなく、全身に効果は行き渡ります。
その為全ての薬には主作用と副作用があります。
病気を治したり、症状を軽くするのが主作用で、本来の目的以外の部分への負の効果が副作用です。

高血圧や糖尿病、高脂血症や脳卒中の生活習慣病の75歳以上の64%が5種類以上の薬を毎日飲み続けていて多剤服用に対する副作用について。

①睡眠薬と抗うつ剤
患者全体の28.8%が不眠で睡眠薬を服用しています。
ただでさえ飲みすぎると集中力低下の副作用が現れるのです。
睡眠薬を飲み始めた当初は、すぐ効果が現れますが、1ヶ月もすれば効かなくなり、増量してもすぐ身体が慣れてしまいます。
しかも不眠のストレスから無気力で、ふさぎがちになり、食欲も低下してうつ症状を発症します。
抗うつ剤との飲み合わせで「過鎮静」の症状が現れて、脳が正常に機能しなくなり、歩行困難から寝たきり生活になる可能性もあります。
②降圧剤と糖尿病薬
高血圧を改善する降圧剤に「β遮断薬」の血糖値の上昇を抑える薬を併用すると、薬が効きすぎて低血糖に陥り昏睡状態になり最悪、死に至る事もあります。
③利尿剤と尿酸値低下剤
利尿剤は高血圧を緩和する為の降圧剤として使われていますが、心筋梗塞などの心疾患の再発予防にも用いられていて、利尿剤を飲むことで体内に溜まっている水分やナトリウムは体外に排出され、心臓の負担は軽減されますが「サイアザイド系」の利尿剤を飲むと副作用で尿酸値が上昇して、それを抑える為に尿酸値低下薬が処方されています。


利尿剤と尿酸値低下薬は、不整脈、狭心症、心筋梗塞などの心不全を誘発する危険性があります。
心臓病治療の為、利尿剤を飲み始めたばかりに、尿酸値低下薬を飲まなければいけなくなり、その結果新たな心臓病にリスクを抱えてしまう事もあります。
この様に、ある病気を治すために処方した薬によって副作用が起きているのです。

④胃薬と鎮痛剤
年齢を重ねると腰、膝などの関節痛の為に鎮痛薬を処方されますが、胃が荒れて胃潰瘍の原因になりその症状を和らげる為に胃酸分泌抑制剤が処方され、長期間服用すると、大腸粘膜に炎症が起こり下痢が起こる可能性があります。
⑤認知症薬と精神安定剤
認知症薬は短期記憶の低下を抑える目的で処方されます。
精神安定剤は周囲の人に対して攻撃的になったり、夜間イライラして暴れる様な症状を抑える為に処方されるもので、ボーっとして、うつらうつらしながら、椅子に座っているのは、複数の薬による過鎮静の1つとも考えられます。
生活習慣病を治すために飲んでいたはずの薬が新たな投薬を呼び込み、気付けば完全に薬漬けになっている可能性もあります。

医師、薬剤師に相談してみてください。

私の考える噛み合わせと減薬

噛み合わせ治療による症状変化
①自律神経が調整される事で、ドライアイ・ドライノーズ・ドライマウス・睡眠の質・精神の安定・胃弱症状・便通症状の改善が認められる。
②姿勢の歪みの是正による頭・首・肩・腰・膝痛の改善
③血流の改善による、しびれ・マヒ感の改善

上記症状に対する症状改善を双方で確認後、減薬する事は可能です。

投稿者:池上 孝