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歯の噛み合わせ

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2008年07月22日

胃炎は気か機か器の病気か?

 胃炎には消化性潰瘍や、胃癌などの自覚症状を訴える器質的疾患を認めるものと、胃酸分泌異常(亢進あるいは低下)胃排出能の低下、噴門部適応性弛緩能の低下などの、胃・十二指腸運動機能の異常、胃や小腸の内臓知覚の異常、ピロリ菌などの細菌やウィルス感染による胃粘膜の炎症などの多くの因子が考えられる機質的疾患や、ストレスなどの心因的要素の疾患も考えられます。
 人間の胃の快適さは、生理的に分泌される、適度な量の胃酸、更にその適切な胃から十二指腸への排出で、正確にコントロールされています。
食物は摂取後に噴門部に貯蔵され、少しずつ幽門側の送られ、収縮運動により粉砕され、胃液と攪拌(かくはん)され、粥状になり、十二指腸に送られます。
我々が食物を美味しく、満腹感なく食べられるのは、適度に噴門部が拡張していくからであります。
その拡張能が低下すると、少量の食物でもすぐに満腹感を感じ、食欲は低下します。
スキルス胃癌が噴門部に発生すると、食直後に満腹感を訴える事に類似しています。
また、知覚過敏は噴門部拡張能の異常を伴って、胃内で健康な人ではまだ感じない少量の拡張で、すでに膨らませた感覚があり、不快感や痛みを感じます。
器質的な胃炎では、痛みを中心とした潰瘍型は胃酸分泌の亢進が関与している事が多いので、胃酸分泌抑制剤を選択されます。
機能的な胃炎では、胃もたれなどの停滞感を中心とした運動不全型は上部消化管の運動機能異常が関与していると考えられているので、消化管運動機能調節薬を選択されます。
非特異型は、心因、精神的因子が強いと考えられるので、心身医学的治療や、向精神薬を第一選択とされます。
私見ですが、ピロリ菌の除菌は中等度以上の委縮性胃炎、すなわち胃酸分泌が低下している症例では症状の改善に有効です。
慢性胃炎と言われた病名は、心窩部痛、胃部不快感、胃もたれ、吐き気などの上部消化器症状を訴えて(検査をして胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍など)原因となる疾患がない場合、機能性胃腸症(FD)と病名が変わりつつあります。
器質的胃炎以外の気と機の胃炎に対して、噛み合わせ治療は何らかの形で関与していると考えています。近い将来、医科歯科連携出来れば・・・と思っています。

川崎医大  春間 賢教授より

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投稿者:池上 孝