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歯の噛み合わせ

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2009年03月16日

「かむ」事の重要性

食べ物を体内に取り込む際の「かむ」という動作と健康との関わりについて考えてみます。
咀嚼とは、食べ物を歯で噛み砕き、唾液を混ぜて飲みこみやすい、大きさの塊にして、下あごや、舌が連動することです。
咀嚼の神経回路は呼吸や姿勢等、血液循環と同様脳幹にあり、生命維持に重要であります。
現代人の平均的な咀嚼回数は戦前に比べてファーストフードに象徴される軟らかい食べ物の普及で、
約6割も減っていると同時に唾液の分泌も減少しているのです。
唾液には糖分を分解するアミラーゼ等の消化酵素が含まれてます。
その他に歯の汚れの除去や、粘膜の傷の修復、歯の補強、抗菌作用や免疫強化、ウィルスを直接攻撃してくれる免疫細胞を増やす作用、毒消し効果もあります。
日常の食べ物には栄養素だけでなく、微量な発がん性物質、活性酵素を含むものが多いのですが、わずか30秒間唾液に侵されるベだけで、リオキシダーゼなどの酵素により毒性が消えて、ガンや老化を防ぐと言われています。

早食いと肥満
大人も子供も早食いの人、また、よく噛まない人ほど肥満の傾向が強く、夜間のおやつ、遅い夕食など「いつ食べるか」と肥満との明確な関連はみられず、「いかに食べるか」が重要です。
「多く噛む人」の特徴は、食べる時間が長い一方、食べる量は少ない様です。
これは食べ物をよく噛むほど、脳の満腹中枢が刺激されて、食欲が抑えられます。「早食いの人」は、満腹感を感じる前に大量に食べてしまいがちになると言われています。
血糖値を抑えるインスリン分泌量も年齢とともに衰えると言われますが、多咀嚼の人は、上昇が穏やかで糖尿病を予防し、健康長寿につながるそうです。


脳の活性
認知機能が正常者の歯の平均本数が14.9本に対して、経度の認知障害の疑いがある者は、13.2本、認知症の疑いがある者は9.4本と少なく、咀嚼力の低下が認知機能に影響を与えている可能性があります。
歯やあご、唇、舌などの口周辺の機能に関連している、大脳皮質の面積は全体の4割近くを占めており、噛むことが脳に及ぼす影響は、硬いものを嚙む程、脳の血流量は多くなり、歯ごたえのあるものを食べることが、脳の活性化につながると言われています。

高齢者の転倒予防
年2回以上転倒したグループでは、奥歯を失い、噛めない人が66%で、転倒が1回以下のグループでは22%と少なかったが、奥歯がない人でも、入れ歯で噛めるようにすると、転倒は減った。
噛み合わせが戻れば、転倒しそうになった時にふんばりが利き、バランスが保てるて、噛むことで首回りが固定されて、けがを防ぐほか、より大きな力を発揮できると言われています。

日本歯科大学
小林義典、菊谷武より

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次回は「噛む効用」についてです。


投稿者:池上 孝