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歯の噛み合わせ

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2012年04月06日

咬合治療による膠原病患者へのアプローチ

この度、6月に日本全身咬合学会で発表する事になりました。
以下、抄録です


咬合治療による膠原病患者へのアプローチ
~線維筋痛症を伴った3症例~

池上 孝1)2)    池上 誠1)3)    黒住 忠正1)4)     荻原和彦5)6)7)

1)岡山健康と咬合を考える会     2)池上歯科医院     3)いけがみ歯科クリニック    4)黒住歯科
5)日本健康機能美歯科研究所      6)日本顎態調和研究会  7)荻原歯科

はじめに

線維筋痛症は検査をしても器質的な異常が見つからず、病名もなかなかつかなくて、整形外科、リウマチ科、ペインクリニック、神経内科などを転々とし、ドクターショッピングを繰り返している。
原因不明で筋肉や周囲の骨、筋肉などの全身に激しい痛みが持続し、隋伴症状として不眠、うつなどの精神症状、過敏性大腸症候群などの自律神経失調症を伴う。
しばしば膠原病などの自己免疫疾患も併発する。
その疼痛は歯根膜という高性能センサーが微細な歯の歪みを正確に感知することに連動して脳中枢が過敏になると脳で大きく拡大され、線維筋痛症の症状として現れている。
又、線維筋痛症の90%以上に顎関節症症状が認められて、そのうち40%は、線維筋痛症診断前に顎関節症治療を受けているとの報告もある。

咬合治療により患者自身が全身の健康を回復した事実は、いずれ科学によってエビデンスは確立される。
今回、医科と連携して症状が改善した線維筋痛症で膠原病を併発した患者について発表する。

診断並びに治療法
‐診査法‐
・健康調査質問表
・頭痛の問診表
・ノイロメトリー
・池上の全身圧痛点
・ゾーンクイック(涙液量検査)
・左右体重計測計
・重心重揺計
・握力計
・背筋計

‐治療法‐
・池上式スプリント
Oリングテストで4㎜、0.5㎜のバイトゲージを用いて咬合高径を決定後、池上式スプリントを用いて微調整を繰り返し、全身の症状改善の消失の確認、診断を行う。

今回、3症例を通して臨床診断法での咬合治療の結果を、一部動画を用い本人の感想を含めて発表する。


【症例】
●主訴:顎関節症
26歳 女性 有歯顎
3年前から、首・肩から手足までのしびれ、全身痛くて何もしたくなく、顎関節症状もあり、薬物療法でも症状改善せず、ドクターショッピングを繰り返し医療不信に陥り、歩行困難で来院、池上式スプリントで約4.7mm挙上。
一ヶ月後に約5割の症状改善を認めている。

●主訴:口渇
61歳 女性 上下義歯
3年前からシェーグレン症候群と全身痛が主訴で対症療法も効果がなく、シェーグレン症候群と線維筋痛症との診断でリウマチ科より紹介される。
ドライアイ、ドライマウスで、針で刺したような痛みと、のどが弱く、口の中がひっつく感じで、朝方咳込み、物を持つと ひじ、膝、足底も痛く、イライラして気分が落ち着かなく、疲れやすい精神状態も伴っている。
池上式スプリントで約、7.6mm挙上。
約6カ月総義歯にて約5~7割の症状を改善されているが、医科での投薬の減少はない。


●主訴:足のしびれ
61歳 女性 有歯顎
平成21年1月に首筋に激しい凝り、左目が充血、左耳難聴で、3月に左足疼痛で歩行困難になり、ステロイド投与も効果なく、体重激減し、車椅子で寝たきりになるのかと不安を抱き、人生に失望を感じ来院。5月より池上式スプリントで約7.3mm挙上後、ステロイドからも解放され、6月下旬に咬合治療完了後、人生に光を見出せた。

まとめ
膠原病、線維筋痛症の患者に対して咬合治療が有効である事が示唆された。
これからの歯科の在り方を示す症例である。


略歴

池上 孝
昭和16年11月3日生まれ

1941年 11月3日 生まれ
1966年 3月    大阪歯科大学卒業
1966年 4月  大阪歯科大学付属病院 口腔外科副手
1967年 3月  大阪歯科大学付属病院 口腔外科助手
1970年 5月     岡山市北区中山下 池上歯科医院開設


所属学会
日本全身咬合学会
日本鍼灸学会
日本良導絡自律神経学会
日本頭痛学会

資格
日本全身咬合学会 認定医(平成15年1月27日)
             指導医(平成16年5月2日)
          認定研修施設(平成17年4月25日)
日本良導絡専門医 (平成9年7月29日)
全日本鍼灸認定医 (平成13年4月1日)


役職
日本全身咬合学会評議員(平成14年4月1日)


投稿者:池上 孝