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歯の噛み合わせ

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2020年01月14日

逆流性食道炎から誤嚥性肺炎と噛み合わせ

軽い咳が続いたり、朝、喉が渇いたり、胸やけ、吐き気、げっぷ、呑酸(酸っぱい液が口に上がってくる)、声がかれる、喉がヒリヒリする等の症状があれば、逆流性食道炎の疑いがあります。
強酸性の塩酸が含まれる胃酸にさらされる胃粘膜はより保護されているのですが、長期にわたって食道、喉、口は、胃酸にさらされると粘膜はただれて、胃がん、胃潰瘍、胃炎の原因にもなります。
ピロリ菌は胃酸の分泌を抑えて胃を守っているのですが、ピロリ菌を除菌すると、胃酸分泌が増え、胃がんは減りますが、食道がんのリスクは高まります。
加齢現象として、胃の入り口の噴門部にある食道と、胃の境目をきゅっと締める下部食道括約筋の働きが悪くなると、胃の内容物が食道に逆流します。
また、糖尿病の人は、糖尿性神経障害により、食道の機能低下により逆流しやすいのです。
逆流性食道炎は横になると胃液の逆流が起こりやすくなり、睡眠中に胃の内容物が口に逆流して眠りが浅くなる為に、50%は睡眠障害を訴えています。
逆流性食道炎が長く続くと、食道粘膜が胃と同じような酸に強い上皮に置き換えられる「バレット食道」となり、食道の胃に近い部分には「腺ガン」が出来やすくなります。
日本人の食道がんの9割は「扁平上皮がん」で欧米では5割が「腺がん」と言われています。
腺がんは扁平上皮がんに比べて発症しにくいのです。

逆流性食道炎の合併症として、誤嚥性肺炎が起こります。
通常、誤嚥性肺炎は食べたものが気管に入って起こりますが、高齢になると下部食道括約筋の力が衰え、胃に入った内容物が食道内に逆流して気管に入ります。
気管に入ると通常はむせて排出しようとするのですが、高齢になるとその防御機能が鈍くなり誤嚥するのです。
誤嚥性肺炎はなんとなく息苦しさが続き、夜に咳き込むと、寝ている間に胃の内容物が逆流して気管に入る逆流性食道炎による誤嚥性肺炎が起こります。
強酸性である胃酸が気管や肺に入ると重症化しやすいのです。

治療薬はプロトンポンプ阻害薬は胃酸の分泌を抑えるのであって、逆流を防ぐのではないのです。
長期の服用は副作用で腎臓悪化する事もあります。
予防法は満腹を避け、脂っこい物、カフェインや酸っぱい飲み物、胃酸の分泌を促進する為に控える事です。
また、しゃがみ込む作業、きついベルトをしめる、大声を出す等、お腹に力をかける行動を避けることです。
猫背、姿勢が悪いと、便秘も消化渋滞を招き、内臓に圧迫がかかり腹圧が高くなり、下部食道括約筋が緩んでしまう為に注意が必要です。
胃は左右で比べると左側の方が大きく膨らんでいるので、横になる時は左を下にして寝た方が逆流しにくいのです。
食後の入浴もお腹に水圧がかかり腹圧を上げる為、1時間くらいあけて入浴する事です。

逆流性食道炎、誤嚥性肺炎の予防はオーラルフレイルの予防に繋がり、自分で噛むことにつきます。

咬合治療は、自律神経を調整し、副交感神経を優位に働き、唾液、涙液が増え頭位も変え、良い姿勢を保ち、逆流性食道炎、誤嚥性肺炎の予防に大きく関係している事を知って頂きたい。

投稿者:池上 孝