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歯の噛み合わせ

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2019年12月02日

介護、認知症とオーラルフレイル

現代医学の秒進分歩により、平均寿命は延びていますが、健康寿命も延びるのが理想ですね。
平均寿命と健康寿命の差、男性9.8年、女性12.7年で、その差はまさに介護、寝たきりの期間で、出来れば0に近づけたいものです。
寝たきりにならず自立した生活を維持する為には介護、認知を防ぐ事が大切です。
人間誰しも年齢を重ねることで筋肉は30歳代から年間1~2%ずつ減少し、80歳代までは約30%が失われると言われています。
更に骨も脆くなっているのです。それがフレイルなのです。
人生の終末は誰しもNNK(寝込んで寝込んで苦しむ)ではなく、PPK(ピンピンコロリ)で終えるのが理想でしょう。

65歳以上で自分の歯が20本残っている人と、歯がほとんどなくなりよく咬めなくなった人と比較したところ、寿命が短いだけでなく、介護が必要な時間が長いのです。
しかも認知症を発症する可能性がおよそ2倍です。
噛むことは脳の血流を良くし、噛む力が弱まると認知症機能が低下するのです。
また、噛みしめる力が強ければ強いほど、歯と歯茎の間にある歯根膜の刺激が脳へ伝わり、運動、記憶などを司る海馬を活性化します。
噛むことで脳は活性化しますが、噛み合わせが悪いと、脳内のストレスや神経細胞が身体にストレスをもたらし、記憶障害を引き起こすと考えられています。
更に噛むことが出来なくなると脳は衰え、脳の神経細胞を破壊するタンパク質のアミロイドβが増加し、認知症の原因になる可能性があります。
一方、噛むことの刺激は、歯からだけでなく、粘膜や筋肉からも脳に伝わっていきます。
歯を失っていても、ブリッジ、入れ歯等で噛むことが出来れば脳を活性化する事も可能なのです。

また一歩下がって身体に不調を訴えている人の顔貌と姿勢に目を向けてください。
老人様顔貌で姿勢は悪く、猫背の人が多いと思いませんか。
人間は2足歩行で、首の上に重い頭が乗っています。
姿勢を決めるのが頭位で、頭位を決めるのが下顎(噛み合わせ)なのです。
歯も骨も長い間にはすり減り、短く、低くなり、噛み合わせも身長も低くなっているのです。
その結果、噛み合わせは低く低くなり、下顎は後ろへ引け、頭は前に傾きバランスをとろうと、猫背になっているのです。
猫背の人の歩行は不自然になり、バランスが悪く一寸した事でつまづきやすく、転倒、骨折、介護、認知症へと繋がっているのです。
低くなった噛み合わせをI-SPLINT(池上式スプリント:マウスピースの様なもの)を用いて挙上する事で、顔貌も若々しく姿勢も改善され、健康を取り戻すと共に介護、認知症の予防にも繋がるのです。
まさに噛み合わせはオーラルフレイルの最初の入り口でドミノ倒しのストッパーではないでしょうか。


投稿者:池上 孝