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歯の噛み合わせ

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2022年03月09日

原因不明の身体不調とかみ合わせ治療

身体的不調がある人の多くは咬合異常があり、医科で「不定愁訴」診断され薬物療法での効果に期待が持てず、歯科に解決を求めるケースもあります。
しかし、通常の歯科治療では満足できずに「デンタルショッピング」を繰り返しています。
「理想的な咬合」を求め3.4~4.4件の歯科を巡っており、その様な咬合異常患者に、歯科医の75%が遭遇しています。
その比率は女性が72~84%、年齢は51.7~53.1才、5年以上悩まされている患者は39.5%です。
咬合異常患者は社会的中流から上流階級にあるようです。
そのほとんどは何らかの歯科治療から始まり、修復治療、矯正、抜歯等で、もとの状態からどんどん「噛み合わせ」が狂い、症状は悪化していきます。
その結果、「症状悪化は歯科医師の技量のせい」「元の噛み合わせに戻してほしい」と訴えるケースがあります。
一方発症の原因として、歯科治療有無に関わらず、「外傷性の事故」や「人生の転機(離婚や転職)」の事例もあります。
咬合異常患者に、医師が脳内神経伝達物質の異常で「三環系抗うつ薬」「精神療法等」で投薬を行っても必ずしも良好な結果は得られない事は、歴史的に証明されています。
過度な「エビデンス主義」は思考停止に繋がり、歯科臨床を委縮させ、治療の発展を阻止し、救える患者を救えなくなると思います。
現状では、「咬合」と「不定愁訴」との関係についてすべて説明できるほど質的にも量的にも少なく、歯科医学の未来は決して明るくないのです。
咬合異常に対して「治らない」「手を出すな」と責任逃れすると、歯科医療、医学の進展はないのです。
「医科で治せない症例」を「歯科で治せる」ロマンを追いかかるのは、知識や技量の研鑚と、その治療に責任がとれ、自分の限界を見極める判断力が求められます。

私が行っている「噛み合わせ治療」は、まずマウスピースを装着し、低くなった噛み合わせを高くして下顎を前後、左右に動きやすく調整します。
それにより、全身の血流が良くなり姿勢が変わり、不定愁訴の症状が改善されるかどうかをみてもらいます。
身体不調の改善が認められる顎の位置を決めます。
マウスピースを外して、顎の位置が元に戻った状態と、改善した状態の再発が認められるかどうかを観察してもらいます。(再現性)
もちろん歯は削っていないので、外しても元の歯の状態に戻すことが出来ます。(可逆性)
一度治療を始めると元に戻すことが出来ません。
診断はまず歯科医がします。
最終的には自分の身体で体感、診断してもらい、症状改善に「噛み合わせ治療」が有効であるかどうかを患者自身に決めてもらいます。

私の考える咬合治療とは、低くなった歯を高くかさ上げする事なのです。

日本歯科医師会雑誌2
豊福 明 より抜粋

投稿者:池上 孝