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歯の噛み合わせ

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2021年01月08日

フレイルの全ては口腔機能の衰え(オーラルフレイル)から始まる

フレイルとは、加齢によって身体機能の低下、それにより精神的・身体的・社会的な問題を生じ、心身の機能が老い、衰え、気持ちも落ち込む。
その為、うつ病を招き、人と話す機会も失い、認知機能の低下を生じ、要介護状態に陥る一歩手前をいいます。
健康と病気の中間的な段階で「老人症候群」とも言われています。

人間誰でも、年齢を重ねることで30才代から年間1~2%ずつ筋肉量は減少し、80才頃までには約30%の筋肉量が失われます。もちろん筋肉力も落ち、更に骨も脆くなっていく事は避けては通れないのです。
また、痩せている人は筋肉力が弱くなっている可能性が強く、太っている人は腰や関節に負担がかかっている恐れがあります。

加齢に伴い骨格筋肉量と筋肉力が弱くなっている状態を「サルコペニア」といいます。
特に足の筋肉量が減少してサルコペニアになるとロコモティブシンドローム(運動器症候群)にも繋がり寝たきりになる可能性もあります。

寝たきりになる原因の多くは運動器の病気です。
運動器とは、身体を動かす部位の事で、骨、関節、筋肉、神経などを言います。
ロコモティブシンドローム(略してロコモ)は、骨・関節・筋肉・軟骨・椎間板といった運動器の障害から、運動機能が低下し、立つ・座る・歩くことに障害が起こる事を言います。
運動器の疾患は主に、関節疾患、病気や骨折、転倒などの怪我で寝たきりになり、要介護や要支援の原因にもなります。
ロコモは高齢になるほど増え、50歳代以上の7割の人がロコモの恐れがあると言われています。まさにそれがフレイルです。
ロコモに関係する病気には、変形性膝関節症、腰部脊椎狭窄症、骨粗鬆症などがあります。
「腰や膝が痛い」「関節が動きにくい」「手足がしびれる」「転びやすい」と言った症状があれば、多くは年のせいで片付けられますが、ロコモのおそれがあるのです。

人間を長い間続けるほど、「フレイル」は誰でも起こるものです。
フレイルの起源は、オーラルフレイルから始まる事を知っていただきたいと思います。
良く噛めることで栄養摂取が可能になり、筋肉量が増え筋肉力がつき、動きもスムーズになり、自然に運動量も増えます。
その結果、やる気も取り戻し社会参加も可能になるのです。

噛むということは、上顎と下顎間に物を介在させ咬合力を加えて噛み砕く事です。
その咬合力を負担するのが、歯であるか義歯であるかによって大きく変わってきます。
自分の歯であれば咬合力は直接歯の歯根膜(繊維)を介して骨に伝えられるのです。
義歯の場合は歯肉を介して骨に伝わるのです。それは丁度布団の上に乗っている状態で咬合力は大きく低下します。
強い力で噛みたくても、自分の歯と義歯では大きく異なります。
強く噛み砕くという事は牛が物を噛んでいる姿を想像してみてください。
右で噛む時は下の顎を大きく開き、上顎と下顎の間に物を介在させ右側に円を描くようにサークル状に石臼の様に噛み砕いているのです。
だから臼歯という名がついているのです。
最大の咬合力を発揮して物を噛むことは、口の周囲の筋肉はもちろん、呼吸、嚥下に関係する筋肉量、筋肉力が増加して、サルコペニア、ひいてはオーラルフレイルの予防になり、むせや誤嚥の予防にも繋がります。

誰でも年と共に、歯もすり減って短くなり、噛み合わせも短く低くオーラルフレイルになるのです。
噛み合わせが低いという事は・・・想像してみてください。
自転車のサドルが低ければどうでしょうか?
又、高すぎるとどうでしょう?しかも低すぎても高すぎても悪いのです。その高低にも許容範囲があり、その人に丁度良い高さが最大限の力を発揮できるのです。
その高さを追求するのが噛み合わせ治療です。

歯も年齢を重ねる事で失ったり、噛むことですり減る為に、短くなり、噛み合わせは低く低くなります。
その結果、下顎は後ろへ下がり、頭は前へ傾きます。
そしてバランスをとる為に背骨を曲げて猫背になっているのです。
前傾姿勢では足の底の重心は前方に位置し、チョコチョコ歩きで歩幅が小さく速度も遅いのです。
また、腰、膝の左右どちらか一方に過重な負担がかかり、腰や膝に不調が起こり、手足がしびれる、関節が動きにくい、転びやすい、などのロコモの症状で、バランスが悪く、ちょっとした物につまずき転倒して骨折、入院、認知症、介護に繋がるのです。

骨折すると、外出頻度が減り、社会との接点も減り、認知症になる可能性もあるのです。
一方、噛めなくて食べられないとオーラルフレイルになり、咀嚼に必要な筋肉量も減り筋力も弱まる為に、軟らかい物、食べやすい物ばかり食べる様になます。
その為に口の周囲の筋肉量の減少が筋肉力の低下に繋がり、飲み込む力が弱くなり食事が喉に詰まりやすく、お茶や汁物でも咽やすくなり、食べられなくなり、嚥下困難から誤嚥から肺炎に繋がります。

低くなった噛み合わせを元の高さに再現するのが噛み合わせ治療なのです。
噛み合わせ治療により顔貌も若々しく、姿勢も是正され運動が出来る事と噛める事により、骨に力が加わり、骨粗鬆症、介護・認知症の予防、ひいては健康寿命に繋がるのです。

予防法
動きにぎこちなさを感じ始めると、運動量は減少しがちになります。
運動量が減ると、食欲が落ち、栄養不足から筋肉量、筋肉力が低下してますます運動しなくなってしまいます。
そんな悪循環に陥らないために、運動量を減少させない生活、適度な運動で骨に刺激、圧力を加え、適切な栄養を摂取する事で、骨粗鬆症の予防に繋がります。

フレイル予防は、良く噛むこと(オーラルフレイル)で栄養が取れてサルコペニアの予防に繋がるのです。
筋肉を作る事で体幹がしっかりし、良い姿勢が保たれ、運動が出来て、ロコモ予防に繋がるのです。
その結果、社会参加への気力、体力(充実)が得られ、心身にも余裕を持つ事が出来て健康寿命に繋がるのではないでしょうか。
フレイルは全てオーラルフレイル(噛むこと)から始まるのです。
最終的には手術による人工関節も視野に入れなければなりませんが、メスを入れる前に「噛み合わせ治療」を考えてみてはいかがでしょうか。


投稿者:池上 孝