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歯の噛み合わせ

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2020年12月24日

パーキンソン病と噛み合わせの関係

パーキンソン病は運動を司る神経系統に異常が生じて運動機能に障害が現れる病気です。全身に多くの随伴症状が現れる事から「全身病」とも言われています。
パーキンソン病の症状には、運動症状と非運動症状とがあります。

運動症状は、発症初期からみられる特徴的な症状です。

脳の神経細胞に異常が起こり「手の震え」「うまく歩けない」等の運動症状が現れる病気で、徐々に進行します。
高齢者に多く、日本には約20万人の患者がいると推定されます。
パーキンソン病は、脳の神経細胞が「信号」のやり取りをするのに必要な「ドーパミン」という神経伝達物質が減少することによって発症します。
私たちが体を動かすには、脳の大脳皮質から全身の筋肉へ運動の指令が伝えられますが、その指令の調節にドーパミンが欠かせないのです。
ドーパミンは脳の奥の方にある「黒質」という部分で作られますが、その黒質の神経細胞が減少する為、ドーパミンも減少し、運動の指令が調整できなくて、身体をスムーズに動かす事が難しくなるのです。
黒質の神経細胞が減少する原因は不明ですが、発症すると神経細胞をもとに戻す治療法はまだありません。

★運動症状
①無道・・・動きが素早くできない、歩くときに足が出にくくなる。(すくみ足)
話し方に抑揚がなく声が小さくなります。
②筋強剛・・・肩、膝、指等の筋肉が硬くなって、スムーズに動かしにくく痛みを感じる事もあり、顔の筋肉がこわばり、無表情に感じられます。
③静止時振戦・・・何もしないでじっとしている時に震え、片方の手や足の震えから始まる事が多く睡眠中は震えは止まりますが、目が覚めると震えが始まり、1秒間4~6回ぐらい震えます。
④姿勢反射障害・・・体のバランスがとりにくくなり、転びやすく、歩いて止まれなくなり、方向転換をするのが難しい。
症状が進むと首が下がり、体が斜めに傾くこともあり、転倒を招き、骨折の原因になるので注意が必要です。

★・非運動症状・・・非運動症状の中には、運動症状の前に現れる症状もあります。
・自律神経障害症状・・・便秘や頻尿、立ちくらみ(起立性低血圧) などです。
・認知機能障害・・・いくつかの手順を踏む行動が計画できなくなり、認知症症状が出て注意散漫になります。
・嗅覚障害・・・匂いを感じなくなります。
・睡眠障害・・・不眠や日中の眠気を感じます。
・精神症状・・・うつ、不安などの症状、アペシー(身の回りの関心が薄れたり、顔を洗う、着替えをする気力がなくなる)、幻覚、錯覚、妄想などの症状が現れます。
・疲労や疼痛、体重の減少・・・疲れやすい、肩・腰の痛み、手足の筋肉痛やしびれ、体重の減少などが起こります。

★その他随伴症状
便秘、頻尿、立ちくらみ等の自律神経障害や、「レム睡眠行動障害」等の睡眠障害、嗅覚低下等の感覚障害、嚥下障害、不安、うつ等の精神症状や認知機能障害が現れたり幻覚等が現れる「レビー小体型認知症」を合併することもあります。
最初に現れる、手足の震え、歩き方が変わった、運動症状に先行して、前触れとして現れる嗅覚低下、レム睡眠行動障害、便秘、うつ等の症状が思い当たる場合は、パーキンソンの疑いが強くなります。
それぞれの症状は高齢になると「年のせい」で片付けられたり、骨や関節の病気や認知症と思われて診断が遅れる事があります。

現在の治療法
治療は運動症状に対して薬物療法が中心が薬による副作用も・・・・。
<薬物療法>
レボドパ(Lドパ)とドパミンアゴニスト等を組み合わせての処方。

薬物療法が、難しくなったらデバイス(機器)を用いた「デバイス治療」が検討されます。
また、治療と並行してリハビリテーションには悪化を防ぐ効果があります。
そしてIPS細胞を用いる再生医療も始まっている様です。

<脳深部刺激療法>
脳の深部に電気刺激を送る脳深部刺激療法で、脳内に電気刺激を送る為、脳に電極を埋め込む手術が必要です。
<経腸療法>
チューブを介して腸にLドパを投与する経腸療法で内視鏡手術で胃ろうを増設します。
<運動療法>
何もせずに動かないでいると症状が進行する為、現状を維持する運動療法(リハビリテーション)は有効です。
運動症状は薬によって発症から2~3年は治ったのではないかと思われる等良くなります。
しかし長期間にわたると、薬の効果が早く切れて症状が出る「ウェアリングオフ」や、薬が効きすぎた事で身体が勝手に動く「ジスキネジア(不随意運動)」が現れる事があります。
又、吐き気、眠気、幻覚などが起こる事があり、衝動的になって賭ける等に夢中になるケースもあります。

リハビリ
ウォーキング、朗読や会話、カラオケ等で大きな声を出す事や、柔軟性を保つストレッチング、筋肉トレーニングを組み合わせて行う事や、音楽を聴くだけでもリハビリテーションの効果があります。

家族で出来る事
動作が遅いとついせかしたり、代わりにやってしまったりしがちですが、ゆっくりでも自らできる様に見守り、基本的には待ってあげる事に心がける事です。
一方、助けを求めている時は必要な手助けをしてあげる事です。
また、躓きやすい場所を減らす等、自宅の環境を見直すことも大切です。

私のパーキンソンに対する歯科的考え

噛み合わせを治療する事で、姿勢が正され重心が変わる為、ふらつき・歩きの改善、首・肩・腰・膝痛の改善、自律神経が調整される事により、唾液・涙液の増加、睡眠、便秘の改善が期待できます。

私の30年来の臨床結果から、パーキンソン病の多くは、噛み合わせの低下が関係していると考えています。
噛み合わせが低い症例に対して咬合を高くする事で症状の改善に繋がる可能性があります。
割箸(4㎜)を噛んで、低くなった噛み合わせを一時的に高くして、5分咬むことで、ドライアイ、ドライノーズ、ドライマウス症状改善を体感する事が出来て、噛み合わせとパーキンソン病の関連を自分自身である程度知る事が出来ます。
相談してみてください。


投稿者:池上 孝